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5分でわかる!臨床推論が上手くいくアプローチって?~診断を考えるための 4step approach~ 【@ Residents as Teachers Instructor’s Guide ~Clinical Reasoning~ 】

臨床推論勉強会が大好きな医学生や、内科臨床医の皆さん!

カルテのアセスメントで、どのように臨床推論すればよいのかわからない!!

臨床推論勉強会に参加したけれども、そもそもどう考えればいいのかわからない!!


なんてことありませんか??

医学生 ぽち先生

最近はオンライン臨床推論勉強会に参加しているけれど、何から考えていいのかわからなくて、グループワークであまり発言することができないワン…
「Aっていう症状があるからBという病気が考えられるかな」くらいしか言ううことがないワン…。

研修医 A先生

最近内科初診外来を担当することになったけれど、いろいろ病歴聞いてみても次のステップがよくわからなくて困っているよ。

仕方がないから一通り身体診察して血液検査をするけれど…。
結局その結果次にどうするっていう次のステップがなかなか考えられないよ。

よく知られている臨床推論の方法として、「Semantic Qualifier」や「System1とSystem2」「スキーマ的分析」などなどありますが

今回は臨床推論の軸となる「診断を考えるための4step approach」
Residents as Teachers Instructor’s Guide ~Clinical Reasoning~ Harrell H, Wipf J, Aronowitz P, et al. Resident as teacher curriculum. MedEdPORTAL. 2015;11:10001.
を参考に紹介していていきます。

この記事を最後まで読めば
臨床現場でも臨床推論勉強会でも、クリアカットに診断までのプロセスを踏めること間違いなしです!

つむり

今回は「臨床推論」がテーマです。
そして私が最も好きなテーマの1つでもあります。

これまでに全国規模のオンライン臨床推論勉強会を企画・開催した経験がある総合診療科医である私が、どんな臨床推論勉強会にも役立つエッセンスを紹介してきます。

5分もあれば記事のすべてを読むことができると思います。
ぜひ授業・臨床のスキマ時間に読んでみてください!


つむり

私は普段チーフレジデントという中間管理職的な立場におります!
同じ科内の初期研修医、後期研修医を合わせると30-40人程度の医者のリーダー的役割ですね。
先生達が日々の臨床を楽しく過ごせるようにレクチャーや業務改革などに勤しむ毎日です。

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臨床推論成功への4ステップ

ステップ1:注意深くデータを集める

1つ目にして最も大事なこと
それが「注意深くデータを集める」ことです。

つまり

正確な病歴
正確な身体診察
正確な検査データ(関連性があるならば)


を集めることになります。

臨床推論成功プロセスにおけるこれ以降のステップはこの3つに依存します

つむり

ここがポイント

診断を考えるうえで最も大事なことは「正確なデータ」を集めることです。

実感するのは特に実臨床においてです。
いろいろ病歴も聞いて、検査結果も出たけれど診断が分からないとき、ありますよね?

そのような時の打開策として当院総合診療科でも言われていることがあります。
「診断に行き詰まった時こそ、あえて原点に立ち返って徹底的な問診と身体診察をしよう」
この一文に、ステップ1の要素が詰まっています。

研修医などで時間的余裕がないときは、担当してくれている医学生を巻き込むことも大事です。
学生は一般に時間的余裕があるため、このステップを部分的に任せる事ができます。

例外は臨床推論勉強会などですね。
プレゼンターが臨床推論をするために必要十分な情報を提示していることが多いので、あえて正確なデータかどうかは気にする必要がありません。

ステップ2:患者の中心となる問題を明確にする

このステップは大きく分けて3つの要素で成り立っています。

  1. ステップ1の「正確なデータ」から問題点を抽出し、プロブレムリストを作成する
  2. 中心となるプロブレムを特定する
  3. 中心となるプロブレムについてワンセンテンスサマリを記載する

順番に解説していきます。

ステップ1の「正確なデータ」から問題点を抽出し、プロブレムリストを作成する。

正確なデータを集めることができたら、次はプロブレムリストの作成になります

#1. #2. #3. ~ のようにプロブレムを抽出してみましょう。

プロブレムリストの作成に苦手意識のある人のために
プロブレムリスト作成の一般的なルールをお教えします。

  • 正確な言葉(医学用語)を用いる & 発症様式を明確にする
    「✖息が切れる」→「〇安静時呼吸困難, 労作時呼吸困難 etc.」
    「✖足が痛い」→「〇左下肢痛, 間欠性跛行 etc.」
  • 時間の経過とともに更新し、修正を加える
    Day1「労作時呼吸困難」
    診察・検査の結果、虚血性心筋症による慢性心不全を強く疑った。
    Day2 「✖労作性呼吸困難」→「〇 #1 慢性心不全 #1-1 虚血性心筋症」
  • 多くてもプロブレムは7±2個まで
    多すぎるプロブレムは人間の処理能力を超えてしまい、逆効果です。
  • 「~の疑い」は使わない
    アンカリングバイアスが働き、誤診に繋がる危険性をはらんでいます。

プロブレムリストの作成に慣れてきたら次のエッセンスも取り込んでみましょう。

  • プロブレムに優先順位をつける
    後述する「中心となるプロブレム」を#1に記載、それ以降は重要度順にリストを作成します。
  • プロブレム同士を関連付ける(チャンキング)
    「胸痛」「冷汗」「嘔気嘔吐」「心電図でV1-V4までST上昇」「心筋逸脱酵素上昇」→「急性心筋(前壁)梗塞」

中心となるプロブレムを特定する

ここがこのステップの肝となるところで、慣れていないと、かなり難しいところです。

簡単な見つけ方はなかなかありませんが、中心となるプロブレムとなりやすい要素がいくつかあります
困ったときは以下の情報に注目してみましょう。

  • 患者の主訴
  • Vital signsに影響しているプロブレム
  • Low-yieldよりHigh-yieldなプロブレム
    「全身倦怠感」や「嘔気」というのはプロブレムとしてはLow-yieldであり、中心となるプロブレムと考えても、診断には結び付きにくいです。
    それ以上に「左上下肢麻痺」や「黒色嘔吐」といったHigh-yieldなプロブレムを中心とすることで診断を想起しやすくなります。

中心となるプロブレムについてワンセンテンスサマリを記載する

中心となるプロブレムを設定したら、それについてのワンセンテンスサマリを作成しましょう。

例:「B.I 2000の喫煙歴のある86歳男性の労作時呼吸困難」

簡潔に要点を記載するように心がけましょう。

ワンセンテンスサマリの詳しい記載方法については、こちらの記事(作成中)でも紹介しています。

つむり

ここがポイント

いわゆる「Short Summary」と「Problem list」の作成に当たります。
SOAP形式のカルテでは、Assessment欄に記載することが多いです。

(例)
<Assessment>
【Short Summary】
B.I 2000の喫煙歴のある86歳男性が労作時呼吸困難を主訴に救急外来を受診した。

【Problem list】
#1 労作時呼吸困難
#2 呼気終末のwheese
#3 口すぼめ呼吸

という形になります。
とてもカルテが見やすくなる以外に、Short Summaryを見た他の医療者がすぐに患者情報を把握できるというメリットもあります。

ステップ3:鑑別診断を作成し、優先順位をつける

いよいよ鑑別を想起するステップになります。
ただ闇雲に鑑別を挙げるだけでは、次のステップである「ワークアップ」に繋がりません。

各診断に関しての「現時点での診断前確率」と「その診断であった時のリスク」別に優先順位をつけましょう。

  • Most likely (診断可能性80-90% リスク不問)
    現時点で一番疑っている疾患を記載します。基本的にこの欄には、ただ1つの疾患名を記載しましょう。
  • Llkely(診断可能性50-80% リスク小
    most likely以外で可能性がより高いものをこの欄に記載します。
  • Less likely(診断可能性20-50% リスク小)
    most likely以外で可能性がより低いものをこの欄に記載します。
  • Unlikely (診断可能性10%未満 リスク小)
    現在のプロブレムからは、考えにくい疾患をこの欄に記載します。
  • Must be ruled out(診断可能性に関わらず、見落とした時のリスクが高い疾患)
    見落とした時に「致死的な疾患(大動脈解離、急性心筋梗塞など)」「様々なリスクが高い疾患(結核、麻疹、COVID-19など)」
    をこの欄に記載します。
    この欄に何が書けるかが、特に実臨床(救急外来など)で重要になるスキルです。
つむり

ここがポイント

Must be ruled outは必ず漏れがないように、考えに考え抜いてください!
Most likelyを考える以上に大事なことです!
見落とすと死んでしまう可能性が高い疾患(Clitical disease)を挙げましょう。

(例)
<Assessment>
【Short Summary】
B.I 2000の喫煙歴のある86歳男性が労作時呼吸困難を主訴に救急外来を受診した。

【Problem list】
#1 労作時呼吸困難
#2 呼気終末のwheese
#3 口すぼめ呼吸

【Assessment】
Most likely:COPD
likely:急性心不全 気管支喘息
unlikely:気胸
Must be ruled out:肺塞栓症

という形になります。
カルテのAssessment欄は以上3項目が記載できていれば十分です。

ステップ4:鑑別診断に基づいてワークアップを計画する

いよいよ最後のステップです。
ステップ3で作成した鑑別リストをもとに、次のアクション(ワークアップ)を計画しましょう

その原則は

  • Most likely、Likelyは積極的にワークアップする
  • Must be ruled outも積極的にワークアップする(1%も可能性を残さない)
  • Unlikelyのワークアップはひとまず保留する
つむり

ここがポイント

Must be ruled outを必ず否定しましょう!!
上記の例でいえば、肺塞栓症の否定のためにスコアリングを使用するほか、確定診断目的には造影CTもワークアップの1つになりえます。
これもMost likelyを診断する以上に大事なことです!
カルテではPlanの欄に記載しましょう。

(例)
<Assessment>
【Short Summary】
B.I 2000の喫煙歴のある86歳男性が労作時呼吸困難を主訴に救急外来を受診した。

【Problem list】
#1 労作時呼吸困難
#2 呼気終末のwheese
#3 口すぼめ呼吸

【Assessment】
Most likely:COPD
likely:急性心不全 気管支喘息
unlikely:気胸
Must be ruled out:肺塞栓症

<Plan>
胸部レントゲン
心臓エコー
薬剤吸入前後呼吸機能検査
DVT/PE リスクを病歴聴取 / d-dimer測定 / 胸部造影CT

という形になります。
ワークアップの順番は侵襲度の低いものからにしましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

他にも様々な臨床推論のコツがありますので、また記事にして紹介していこうと思います。

ぜひ臨床推論勉強会に参加するときだけでなく、実臨床においても活用してみてください!!

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